日常のちょっとした場面で、ふと「これってどっちの漢字を使えばいいんだろう?」と迷った経験はありませんか?
特に「おりる」という言葉は、「降りる」と「下りる」という二つの漢字があり、どちらも見かける機会が多いですよね。でも、意味や使い方には実ははっきりとした違いがあるんです。
この記事では、「降りる」と「下りる」の違いを、わかりやすく丁寧に解説していきます。基本的な意味から、よくある使い分けのポイント、そして日常で迷いがちな具体的なシチュエーションまで、3部構成でじっくりご紹介します。
読み終えるころには、「もう迷わない!」と自信を持って使い分けられるようになっているはずです。ぜひ最後までお楽しみください。

「降りる」と「下りる」──似ているけど意味は違う?正しく使い分けるための第一歩
はじめに:どちらも「おりる」なのに、なぜ使い分けが必要なの?
日常生活でよく見聞きする「おりる」という言葉。漢字にすると「降りる」と「下りる」がありますが、どちらを使えばよいのか迷ったことはありませんか?同じ読み方でも意味や使い方には微妙な違いがあるんです。
たとえば、
- バスをおりる
- 階段をおりる
この2つ、実は違う漢字が使われるのが正解です。「そんなの直感で書いてるよ…」という方も、これを機に正しい使い分けを身につけておきましょう!
この記事では、「降りる」と「下りる」の違いをわかりやすく丁寧に解説していきます。今回はその第1部として、「降りる」に焦点を当てて掘り下げていきます。
「降りる」ってどんな時に使う?
基本の意味:何かから外れる、あるいは降下する
「降りる」という言葉の基本的なイメージは、「乗っていたものから外れる」「高い位置から地面などの低い場所に移動する」というものです。
たとえば、以下のようなシーンで使われます。
- 電車から降りる
- バスを降りる
- 飛行機を降りる
つまり、「何かに乗っていた状態から、その状態をやめる(離脱する)」という意味合いが強いのが特徴です。
例文で確認してみましょう
例文: I got off the train at Tokyo Station.(私は東京駅で電車を降りました)
ここでは「get off(〜から降りる)」という英語表現が使われています。「乗っていたものから外れる」ニュアンスがわかりやすいですね。
単に移動ではなく、“関係から抜ける”意味でも使える
「降りる」は物理的な移動だけでなく、抽象的な意味でも使われます。つまり、「何かに関わっていたけれど、その関係から離脱する」といった文脈でも登場します。
例1:役職を辞める
・彼は部長のポストから降りました
この場合は、ある立場や役割から「外れる」という意味で使われています。地位や役職から退くという表現ですね。
例2:計画や活動から手を引く
・そのプロジェクトにはもう降りたんだ
これも、何かに“加わっていたけれどやめた”という意味です。まるで列車に乗っていたけれど途中の駅で降りるようなイメージですね。
さらに意外な使い方も…?自然現象における「降りる」
「降りる」は天候や自然現象の表現としても使われます。たとえば、「霜が降りる」「露が降りる」といった表現は、寒い季節によく聞きますよね。
- 今朝は冷え込んだせいか、霜が降りていた
- 草の葉に露が降りていて、キラキラしていた
このような使い方では、空中にあった水分が地面に現れる(=降りてくる)というイメージが伝わります。
「降りる」と「乗る」はセットで覚えるとわかりやすい
「降りる」は、「乗る」と対になる概念です。「乗る」は何かに加わる、「降りる」はそこから離れるという関係性があるため、以下のようにセットで覚えると理解がしやすくなります。
行動 | 動詞 |
---|---|
電車に乗る | 乗る |
電車から降りる | 降りる |
このように、何かに「加わる」動作の反対は「そこから抜ける」という意味になります。
似た場面で「下りる」と迷うことも…
ただし、「乗り物からおりる」時には「下りる」が使われる場合もあります。その違いは第2部で詳しくご紹介しますが、ざっくり言えば「移動の方向」が関わってきます。
たとえば、「階段を下りる」は下方向に移動しているから「下りる」、「電車から降りる」は関係性から外れる動作として「降りる」といった具合ですね。
第1部のまとめ
ここまでで、「降りる」が持つさまざまな意味について見てきました。要点を整理しておきましょう。
- 「降りる」は、何かから外れる・離脱するというニュアンスがある
- 乗り物を使った移動の終了時に使われる
- 立場や役割から離れる時にも使う
- 霜や露などが地面に現れる現象にも使われる
「下りる」の正しい使い方とは?意味のバリエーションと分かりやすい例文で解説
「下りる」はどんな動きを表す言葉?
前回は「降りる」という言葉に注目しましたが、今回はもう一つの「おりる」である「下りる」について詳しく見ていきましょう。
「下りる」は、基本的に**“上の場所から下の場所へ自分の意思で移動する”**という意味を持っています。つまり、動きの方向に注目した言葉なんです。
階段や坂道で使うのが「下りる」
たとえばこんな場面を思い浮かべてください。
- 階段を下りる
- 坂道を下りる
- 山を下りる
これらはいずれも、高い場所から低い場所へ、自分の意志で動いている状態ですよね。このような時に使うのが「下りる」です。
例文: He carefully walked down the stairs.(彼は慎重に階段を下りた)
この場合の「walked down」も、「下へ進む」という動作を表しており、「下りる」と一致します。
“意志のある動き”がキーワード
「下りる」は「落ちる」とは違い、自分で動いているという点が大切です。もし、重力に引かれて勝手に落ちたような状況なら「落ちる」を使います。
・(誤)屋根から下りた
・(正)屋根から落ちた
つまり、「下りる」はあくまで“自分で下へ移動する”という前提があるんですね。
「乗り物を下りる」も間違いじゃないの?
ちょっと意外に感じるかもしれませんが、実は「バスを下りる」という表現も存在します。
なぜかというと、乗り物から地面へ移動する時に、わずかでも高低差があることが多いためです。電車のドアから一段下がってホームに足を着ける、その動作を「下りる」と言っても間違いではありません。
とはいえ、乗り物から外れるというニュアンスが強い場合は「降りる」の方がしっくりくるので、そのあたりの使い分けはシチュエーションや意図に応じて変えていくのがポイントです。
「下りる」には他にも意外な意味がある?
実は「下りる」には、単なる移動以外の意味も存在しています。ここでは、少し意外な使い方をご紹介します。
心理的な軽さ:「肩の荷が下りる」
たとえば、重たい責任やプレッシャーから解放されたとき、こんな言い回しを聞いたことはありませんか?
・試験が終わって、ようやく肩の荷が下りた
この「下りる」は、背負っていたものが「下に落ちた(=消えた)」というイメージから来ています。つまり、気持ちが軽くなるような意味合いで使われるんですね。
許可や承認:「許可が下りる」
また、ビジネスシーンなどでよく使われるのがこちら。
・やっと上司から出張の許可が下りた
これは、組織の上の立場の人が出す“許可”というものが「上から下に降りてくる」というイメージから使われています。ちょっと形式ばった言い回しに感じるかもしれませんが、非常に日常的な表現です。
物理的に閉まる:「シャッターが下りる」
店舗の営業が終わる時などにも「下りる」が使われます。
・夜10時にシャッターが下りる
これは、シャッターが上から下に移動して閉じられる動作をそのまま表現しているもの。まさに“下方向への動き”がそのまま言葉になった例です。
まとめ:「下りる」は“方向性”と“意志”がポイント
ここまでの内容を振り返ってみましょう。
意味の分類 | 例文 |
---|---|
高い場所から低い場所へ移動 | 階段を下りる、山を下りる |
精神的な重圧の解放 | 肩の荷が下りる |
許可・承認が得られる | 許可が下りる |
機械的に閉まる動作 | シャッターが下りる |
要するに……
- 「下りる」は基本的に“下に移動する”という意味
- 自分の意志で動く場合に使われる
- 抽象的な意味では「軽くなる」「許可が出る」といった表現にも対応
「降りる」と「下りる」の正しい使い分け|迷った時の判断ポイントまとめ
日常でよく迷う!「どっちのおりる?」問題
ここまでの記事で、「降りる」は“外れる・離れる”ことを表す言葉、「下りる」は“高い場所から下へ移動する”ことを表す言葉、という違いを詳しく見てきました。
ですが、いざ実際に使おうとすると、 「えっ、これって降りる?下りる?」 と迷ってしまうことも多いのが現実です。
そこで第3部では、迷いやすいシーン別に、どちらを使えば自然かを例文とともに確認していきましょう。
シーン別!「降りる」と「下りる」の使い分け早見表
まずは、パッと判断したいときに役立つように、代表的な使用例を一覧でご紹介します。
シーン | 使う漢字 | 理由・ポイント |
---|---|---|
電車・バスからおりる | 降りる | 「乗っていたものから離れる」という意味 |
階段・坂をおりる | 下りる | 高いところから下へ“移動”しているため |
役職をやめる | 降りる | 「立場」や「役割」から“外れる”イメージ |
シャッターが閉まる | 下りる | 物理的に“下方向に動く” |
霜や露が発生する | 降りる | 空中から地面へ“降ってくる”イメージ |
プレッシャーから解放される | 下りる | 「肩の荷が下りる」など。荷が“下に落ちた”感覚 |
許可が得られる | 下りる | 上から“下りてきた”という上下関係の表現 |
ケース別に詳しくチェックしてみよう
① 乗り物の場合:「降りる」が基本だけど……
多くの人が迷いやすいのが「電車やバスなどの乗り物」からおりる時。
基本的には、「降りる」を使うのが自然です。なぜなら、これは「乗っていた状態から外れる」行為だからです。
正しい使い方:「次の駅で電車を降ります」
ただし、乗り物のドアが高くて一段“下に降りる”ような構造の場合には、「下りる」が使われることもあります。どちらでも意味は通じますが、一般的な感覚としては「降りる」が優勢です。
② 階段・山道・坂道は「下りる」がぴったり
これは方向が関係する典型的な例です。
正しい使い方:「階段をゆっくり下りてください」
このように、上から下へ、意識して“下っていく”動作は「下りる」で表すのが自然です。
③ 精神的・社会的な変化にはどっちを使う?
やや抽象的な表現になると、漢字の使い分けが難しくなってきます。ここでは判断のコツをご紹介します。
- 役職や地位など「社会的な立場から離れる」→降りる
- 心理的な重荷が解放される→下りる
たとえば、
誤:部長のポストから下りた
正:部長のポストから降りた
ここでは、「ポストから“外れる”」という意味なので「降りる」が正解です。
一方で、
例:試験が終わって、ようやく肩の荷が下りた
こちらは「荷物が肩から下に移動した=プレッシャーが消えた」というニュアンスなので、「下りる」が自然になります。
迷った時の判断ポイントまとめ
どちらの「おりる」を使うか迷ったら、次の視点から考えるとわかりやすくなります。
- **「物」や「人」との関係性を断つとき → 降りる**
- **「位置が下がる」ような動き → 下りる**
つまり、「乗っていたものをやめる」「関係から抜ける」などの時は降りる、
「高い所から下へ進む」動作や「気持ちの変化」などは下りるが合います。
おわりに:知っていると差がつく漢字の使い分け
「降りる」と「下りる」は、どちらも日常で頻繁に使われる言葉です。
そして、ほんの少しの違いで意味が変わってしまうこともあるため、正しく使えると表現力がぐんとアップします。
もちろん、会話では漢字が見えないため大きな問題になることは少ないですが、文章で書くときにしっかり区別できると、読み手にとってもとても丁寧な印象になりますよ。
以上で、「降りる」と「下りる」の違いと使い分けについての全3部構成の解説は終了です。
ぜひこの機会に、ちょっとした日本語の奥深さに触れてみてくださいね!
おわりに
「降りる」と「下りる」。同じ読み方でも、場面によって使い分けが必要なこの二つの漢字。
どちらを使うべきか迷うことは少なくありませんが、それぞれの意味やニュアンスを知っておくことで、ぐっと自然な日本語表現ができるようになります。
今回の記事では、3つの視点から丁寧に解説してきました。ほんの少しの知識が、文章を書くときや人前で話すときの自信にもつながっていくはずです。
言葉は、知れば知るほど面白いもの。これからも、日常のなかでふと気になった言葉の違いに耳を傾けてみてください。
この記事が、みなさんの言葉の世界を少しでも広げるお手伝いになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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